2018-03-17

神輿を担ぐだけが祭りじゃない。その先の日常を見つめる店ー三ツ矢酒店【PR】

都会にも朝市を

―でも、そう考えると、三ツ矢さんも西荻ラバーズフェスも参加している、あさ市(※注)は、すごくいい文化だなって思いますね。あさ市はどういった理由から始まったんですか?

あのね、スーパーなんかができはじめたでしょ。それで小売り商人がどんどん圧迫されてきたわけよ。で、商店街からお客さんがだんだん離れていってさ。それでお客さんをこっち向かせよう、つって。第三日曜日にやってたのは、給料日前で一番お金がない時だから。我々は地方行った時に輪島とか、本物の朝市を見てたからさ、「じゃあ都会の朝市を作ろう」ってことになって。「継続は力なり」を合言葉に、あさ市をもうずーっとやってきてるけど。うちだって、休んだのは雪が降った一回だけだね。大雪で業者が来れなくなっちゃったの。品物を運べなくなっちゃって。その次からはずーっとやってる。もう、やめたいんだけどね…つらいんだよ(笑)

―一度はじめたらやめられないですよね…!(笑) みんなも期待してますし。

まぁ「あきない」だよ。あきずにやってるから、お客さんもついてくるんだよ。晴れても降ってもやってるから、お客さん来てくれてるんだよ。

※神明通りあさ市:毎月第三日曜日の8~11時に開催

神輿を担ぐだけが祭りじゃない

―そういう一つひとつの取り組みが今の西荻の雰囲気をつくっているのかな、と思いますね。それに惹かれて、「ここでお店をやろう」と思う若い人もいると思うので。せっかくだから、そこにはやっぱり交流があるといいなと思いますね。

『ハロー西荻』みたいに、今ある西荻のイベントも、考えるのは同じ商人同士だからさ。もっと皆さんみたいにいろんなことをやってて、第三者的な意見を言える人たちを入れて一緒になってやった方がいいと思うんだよね。

―たしかに、西荻ラバーズフェスは実行委員長の高橋みたいに自分でお店をやってる人もいれば、我々のように会社員で西荻に住んでいるお店の利用者という立場の人も、いろんな人がいますからね。

そうしないと、やっぱり街を盛り上げようというのは無理だよ。今、昔の「旦那」と思えるような商人がいなくなっちゃったもの。もっと気風がよくて、払いっぷりがよくて、ボーンと大胆に何かするような。ざっくばらんに若い人と話ができるとかさ。だから、高橋くんはいいよな。俺は若い人が積極的にやってくれるのが大好きだから。

―ありがとうございます、高橋もきっと喜ぶと思います!(笑)。三ツ矢酒店さんの近くに高橋がお店を出したのも運命かもしれないですね。本人も、そう言っていました。

彼はロウソクを使っていろいろやってるけど、商店街のことも…うまいよな。詳しく聞いたことないけどさ、好きなんだな、こうやってイベントを仕立てるのが。どういう風にして、西荻ラバーズフェスの実行委員は集まってきたんだ?何を見てこういうのやろうと思ったの?何かとっかかりがあったから、みんなこうやって集まってるんだろ?

―西荻の駅前などでお祭りをやっているのを見て。東京は地方から上京した人たちの集まりだと思っていたけれど、地元にちゃんとコミュニティがあって、自分はそこになじめていないなと思ったんです。なので、街の人ともっと仲良くなりたい、西荻を地元と言えるようになりたいと思ったのもあります。

そういう人たちが集まるとうまくできるんだよな、きっとな。なんか見返りはほしくない?やったからには。「よかったね~」とか声がかかってくればもっとうれしいよね。

―それは本当にうれしいです。あとは、友だちができたり、お店の方々とお話ができるだけで、それで十分です。取り組んだことに対して、皆さんからリアクションをいただき、「もっとやってよ」と応援していただけることが一番ありがたいですね。共感していただけると、やってよかったなと思います。

みんながやってることが「西荻はこんな楽しいことがあるんだぞ」ってもっと外にも広がって、他地区の人からもそれに対する声が聞こえてくるとうれしいよな。もう何回目だっけ?これで最後になっちゃうんだっけ?もったいないような気もするけどな。

―そうなんです。今年、3年目で公園でのフェスは区切りとなります。形を変えて、何か街のためになるアイディアを実践していけたらなと考えています。

どの町内でもそういうのがあるといいと思うよ。みんなでやればもっと盛り上がるよ。うまく世代交代ができてないんだよな。でも何代も代々続いてくってのは大変なことだよね。続けるのは大変なこと。だから西荻ラバーズフェスも3回よく頑張ったよ!また何らかの形でもって、継続してもらいたいな!ぜひ。協力できることは協力いたしますから。

―ありがとうございます! はじめる時に「3回は続ける」と決めていたので。それっきりの「打ち上げ花火」になってしまってはだめですよね。神輿も担ぎに行きます!準備や後片付けも!(笑)

最初の準備から、担ぎから、後片付けから、全部やったら「祭り」だよ。街を挙げての。俺はそう思うよね。後片付けやって、「あぁご苦労さん」って鉢払い(※注)まで。そこまでやりゃあ、みんなその街に溶け込んでいくんだよ。本当にみんなとつながりができて、普段も挨拶が続けられるんだよね。だから西荻ラバーズフェスも今回でおわりなんだけど、何らかの形で、こうやって「おはようございます」の挨拶ができるようなつながりが続けられるといいと思うね。

―最終的な目標はそこなんです。関係性ができて、それが続いていく。

昔は朝、店の前なんかを掃除していてさ、出勤する人たちとよく挨拶したもんだけど、今そういう人たちがいないでしょ(笑) みんな忙しくてタッタッタッタッ歩いて行っちゃってさ。もっとあたたかい街に西荻がまたなるといいよね。ちっちゃい店ならさ、割合みんなそういうところを利用すると顔見知りになったりできるんだけどね。スーパーやコンビニはそういうことがなかなかできないからね。なじむってことが大切だよな。

―挨拶を普通にできるようになるってことがまず一歩なのかもしれないですね。

その辺をテーマに、これからも動き続けていただけるといいと思うな。「西荻ラバーズフェス」という御神輿を担ぎ上げたんだから!

―はい、また新たな使命を感じています。まだまだお話を聞いていられそうですが(笑)

また来ていいよ!

―ありがとうございます!試飲にもお邪魔します(笑)。

※鉢払い:祭後の慰労会などの総称。祭の後に神前に供えた器(鉢)を片付けたことに由来する言葉で、「鉢洗い」という表現もある。


事務所内にそっと飾られた、創業80年式典(2006年)での現社長・鴨志田總一郎さんの写真。歴史の重みとともに、続けることの大変さがある。

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三ツ矢酒店
Tel:03-3334-7447
〒167-0053東京都杉並区
西荻南2丁目28番地の15
アクセス: JR西荻窪駅より徒歩3分
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