最後のご挨拶
西荻ラバーズフェスにご参加、ご協力をいただきました皆様へ
3月18日の西荻ラバーズフェスが終わってすぐに、三寒四温の「寒」が来て、雪が降るほど天気が崩れた後は一気に染井吉野が開き、暖かい風とともにいよいよ春も本番になりました。
当日は晴れたものの、あと数日この天気がずれていたら、と震えおののきますが、そこは「本番は晴れる晴れる晴れる晴れる」と3年間で累計1000回ぐらいは念じたお陰か、区内にある気象神社への参拝、「四股を踏むと晴れる」という迷信じみたものの実行など、できることは全部やった結果かもしれませんし、もしかしたら出店者の皆様か来場者のどなたかの中で、強烈な晴れ男がいたのかもしれません。
西荻ラバーズフェス実行委員会は現在、今まで資材置きに使っていた倉庫の契約を終えることで、3年間作りためた装飾物や紙類などの沢山のモノを一気に処分し、今は色々な集計や、会計、報告書を作ったりの後片付けを進行中です。
当初から決めていた3年間の期間限定のフェスとはいえ、一度始めたものを終える、というのはなんというか、勿体無いというか…土曜日にやっと完成したものを日曜日には捨てるというような、普段の生活では考えられない短い寿命のモノを産み出してしまった背徳感のような感覚に少し戸惑いもありました。
結局、ロゴ入りの看板と、3年という月日を経てとうとう子供が産まれて家族になった大こけしファミリーの大きな布だけは捨てるに捨てられず、保管をしてあります。
西荻ラバーズフェスのコンセプトになぞり、ご来場、ご参加いただきました西荻ラバーズの皆様に、西荻のヒト、モノ、コトのなんらかを知っていただいたのだとすれば、皆様の、これからも続く西荻生活にまた一つの新たな楽しみが増えていくであろうと信じています。
これからも西荻という街は、時代とともに、西荻にしかできない、西荻らしい進化を遂げていくことと思います。
お店も変わるでしょうし、街並みも変わるでしょうし、街にいる人も変わっていくでしょうし、新たな催しも始まるでしょう。
もし、何十年も何も変わらなかったとしたら、その街はいずれ、人の歩かないシャッター通りになってしまうかもしれませんから。
私たち、「西荻ラバーズフェス」も、3年間の野外型フェスの形を終え、西荻ラバーズフェス実行委員会も解散いたします。
今後は「西荻ラバーズ」と名を変え、西荻を愛するが故にこの街で何ができるのか、考えて活動を続けていきたいと今日現在考えています。
最初に企画書を書いてから丸3年の活動の中で、沢山の人に出会いました。
当初、なんの実績もなく、情熱しかなった私たちが区の施設である原っぱ公園を使いたいと言って、半年かかってもなかなか借りられなかった時に、手を差し伸べてくださった当時の西荻窪商店会連合会の会長さま。当初来場者目標500人からスタートしたフェスが、大きな目標へと変換していった過程で、どうにも予算が足りず、銀行に融資のお願いに行く時も一緒に頭を下げていただきました。
1年目で、何人来場者が来るかもわからない、初めてのフェスにもかかわらず、土曜日の営業を終えてからほぼ徹夜状態で仕込みをして、日曜日の営業を諦めてまで出店してくださった出店者の皆様。チラシを配っていた時点で出店者さんに聞かれた、「このフェス、本当にお客さん来ますかね?」「もっと本気で頑張って」にお言葉。僕らの活動のせいで、お店に赤字を出させるにはいかないと、僕らにムチを与えてくれました。
失敗もいっぱいしました。
いろんな人に、いっぱい怒られました。
ノウハウもなく、お店に挨拶に行くタイミングを間違えたり、貸していただいたものを壊してしまったり、礼儀が足りなかったり。
よく謝罪にもいきました。
でも、そういう時も、皆さんは呆れながらも、最後は頑張ってね、と。
僕らに後押しをしていただきました。
最初の頃はSNSで叩かれたこともありました。
自分たちがどう見られているのか、謎すぎる意味不明の存在であることを理解し、人前に出ていくことの大事さもわかり、西荻東銀座会の協力を経て毎月の朝市にも参加をさせていただくことになり、地域活動とイベントの経験値を積むことができました。
そもそも、4年前、私のお店がある西荻東銀座会という商店会に所属したことで、商店会のお神輿を担ぎ、そのお祭りの中でキャンドルナイトを依頼され、その祭りの鉢洗いの時の話がきっかけで商店街にある公園のイルミネーションの施工を担当させていただき、そしてその近所の皆さまの嬉しい反応が、西荻ラバーズフェスを企画する初期衝動につながりました。小さな頃から親が転勤族だったことで地元のなかった私に、「地域で生きる」ということを初めて知らしめてくれたのは、西荻東銀座会でした。
お役所、というと、硬いイメージしかなかったのですが、実際は強力なサポートをもたらす、懐の広い人たちばかりでした。最終的に、これはダメ、と言われたことってあったかしらと思うほど、各担当の方は親身に話を聞いて僕たちの希望を実現していただきました。
アーティストの皆様は、僕らにできる最大限を理解していただき、他では言えないくらい、見えないところでも頑張っていただきました。それでも気の入った最高のパフォーマンスを発揮していただき、これはいいフェスだよ! 楽しかったよ! またやって! とのお言葉に、救われました。
忘れてはいけないボランティアスタッフ(ボラバーズ)の皆様。
当日実行委員は裏方で、お客様と接するのはボラバーズの皆様でした。
心地よく、アットホームな雰囲気を作れた大きな要因は皆様の笑顔でした。設営、撤収の力仕事も、本当にお疲れ様でした。ボラバーズさん同士のカップル誕生のお話もちらほら聞いていますが、今後も春夏にかけて西荻ではハロー西荻、西荻おわら風の舞、とボランティアとして参加できる西荻のお祭りは続きます。そちらでもまたお会いしましょう!
いくらフェスが開催されても、楽しんでいただく来場者の皆様がいなければ、からっぽでした。初年度21,000人、2年目30,000人、3年目25,000人の西荻ラバーズの皆様。そして初年度のクーポンブック西荻Bonneや二十四人のイラストレーターズ展、西荻まんが道、西荻まち歩きアドベンチャー、3年間開催した西荻ラバーズナイトにも参加をしていただいた皆様。
来場者、参加者となる西荻ラバーズの皆様が楽しんでいただくことが、西荻の街に活気と潤いを与えることになります。
街ゆく人の、楽しみにしています。頑張ってください。
あの言葉にどれだけの勇気をもらったか。
感謝の言葉はいくらあっても足りません。
関わっていただいた、そのすべての人たちにお力添えをいただき、応援をいただき、実現することができました。
また、何らかの形で、西荻を愛する皆様にお会いできる日を想い、まずは一旦西荻ラバーズフェスの幕を閉じさせていただきます。
みなさま、これまで本当に、ありがとうございました。
また、西荻であいましょう。
西荻ラバーズフェス実行委員長 高橋 成彰
西荻であいましょう
西荻窪は、都会にありながらどこか懐かしく、ぬくもりのある街です。
そこにあるのは、高層ビルでも観光名所でもなく、
人々が穏やかに暮らす住宅地と、それを支える魅力ある数々の個人商店。
昔からある店とお洒落な新しい店が隣り合い、生き生きと軒を連ねます。
近年、そんな魅力に惹かれた若い世代の移住者が増えています。
“自分の住む街をもっと知りたい” “同じ街に住むさまざまな人と出会いたい”
そんな思いを抱いて、地域との関わりを模索する人も少なくありません。
一方、長年住む地元の人たちが、そうした若者たちと
接する機会がほとんどないのも事実です。
「西荻ラバーズフェス」は、西荻を愛する人々が、世代をこえて集まり、
交流できる “街のお祭り” を目指しています。
個性ある西荻の商店や人々が、桃井原っぱ公園という大きな広場に集結。
1日限りの非日常の空間が縁となり、普段出会うことのない人と人、
あるいは人とモノが出会えるきっかけをつくりたいと考えています。
そこで生まれた出会いは、その瞬間、その場限りのものではありません。
祭りの後も、ずっと続いていく日常生活の新たな楽しみへとつながります。
たとえば、フェスで出会った人と街でばったり会って挨拶をし、
思わず笑みがこぼれるような。
あるいは、ずっと使い続けていきたいと思える、
お気に入りの小物に出会えるような。
「西荻ラバーズフェス」がきっかけとなり、たくさんの出会いがつながって、
訪れた人が、西荻の街を今よりもっと好きになってほしい。
そんな願いをこめて「西荻ラバーズフェス」を開催します。
西荻であいましょう