2018-02-13

西荻窪ではじめる、「未来を育てる働き方」-カフェ『in the Rough』【PR】

後編となる今回も前回に引き続き、日栄不動産の代表・松本弘子さんに話を伺います。キーワードは「未来を育てる働き方」。日本でもここ数年で「働き方改革」が声高に叫ばれるようになったものの、言葉ばかりが一人歩きし、その波にうまく乗れる人もいれば、困惑し、溺れかけている人もいるのではないでしょうか?残業できなくていい迷惑?そういう時代だから?何のための、誰のための「働き方」?そんな人にこそ知ってほしいのが今日のお話です。休日は急行も止まらないのんびりした時間の流れるこの街で、「未来を育てる働き方」をはじめている人たちがいます。その舞台はカフェ『in the Rough』。電源、wi-fi、OA機器、壁面ホワイトボードというノマドワーカーやフリーランサーにとってありがたいスペックもさることながら、この場所で小さくて大きな一歩を踏み出した人たちのストーリーには勇気付けられるものがあります。そこにはきっとあなたの「働き方」を見つめなおすヒントもあるかもしれません。

取材・文:小林真梨子
写真:居平麻名


仕事をすることは、社会に価値を残していくこと

-前回の話でも「働き方」を残していこう、そのために『in the Rough』を作った、というお話がありましたが、開業のきっかけについて詳しくお聞かせいただけますか?

自分が仕事をしていく中で、「何のために働くのだろう」と思ったんです。当時、子どもはまだ手のかかる小学生で、専業主婦という選択肢がなかったわけでもないし、「どうしても不動産じゃないと」という志を持ってこの業界に入ったわけではなかったので…。人は仕事にけっこうな時間を費やすけれど、「その先に何が残るんだろう」と。お金なのか、会社なのか、名誉や地位なのか。いや、そのためじゃないなと思って。
ただ「継いでいくもの」という感覚が自分の中ではあった。自分も(親から会社を)継いだので、「自分はリレーの走者で、最初にスタートした人がいて、自分も次にバトンを確実に渡すまで一生懸命走らなくてはいけないな」と思ったんです。じゃあどんなバトンを渡すかと考えたときに、先代の「せっかくだから仕事は続けなさいよ」という言葉の意味を考えました。それは自己表現というか、お金のためだけではなく、形になるものではなくても、「自分が社会に何か価値を残していくこと、それが仕事をするということなのかな」と思ったんですよね。
子どもがまだ手がかかる時期に働くかどうか迷った時に、彼女たちもいつか同じ思いで選択をする時が来るのだと思ったら、もっと柔軟に、仕事をする/しないではなく、仕事をするのは当たり前で、女性のライフステージに関係なく、自分が生きているうちに世の中に何か価値を残していくことができるような「働き方」を残せれば、その価値をバトンとして渡せばいいのではないか。あとは何をするかとか、いくら稼ぐとかはその人次第ですし。
こういう仕事をしているからかもしれないけれど、お金や家は正直残してもあまり役に立たないのではないかと感じることも少なくありません。いろいろな思いがあって残すのですが、受け継ぐ人のその時の状況一つで願うような形として残らなかったり、それがきっかけで仲たがいしてしまうようなこともありますよね。会社についても、会社を残すことが大事なのではなくて、残してもいいと思える「人」を残すことの方がよっぽど大事で。でも、それはその人がどんな所でどんな人と関わるかにもよるから、自分ではコントロールできないじゃないですか。自分でできることと言ったら、当たり前に見流している世の中に何か価値を残していくことを、男女の性差なく、しやすくしていく方法を残していきたいと。


「仕事をすることは、社会に何か価値を残していくこと」と言う松本さん。

未来を育てる働き方を「いつか」ではなく「今」はじめるための場所

ちょうどそんなことを考えているときに、ある人から東京都の「地域イノベーション事業」という助成金事業のプランを出してみたらどうかという話をもらったんです。
そのとき私は一人で会社の運営をやっていたので、自分がいいと考えていることが他人から見てもいいと思うことなのか、自分の考えやアイディアが世の中からどう判断されるのかを見てみたいと思い、応募したんです。
不動産業界の中のワークシェアとか、男女関係なくキャリアを積み重ねていく働き方を、私は「未来を育てる働き方」と呼んでいます。「未来」というのは、いつかやってくるものではなく、自分で育てるものだと思うんです。例えば、学生時代のアルバイト、子育て中のパート、24時間頑張って働くこと、セカンドジョブでお小遣い稼ぎのためにやる副業にしても、それがどんな仕事であれ、どんな時であれ、自分の未来につながるような働き方ならいいんじゃないか、そういうことができる場所を作りたいと思ったんです。
その一つが、不動産のシェア。不動産屋をしていると、家賃が払えなくて出ていく会社や飲食店をたくさん見るんです。どんなにいいアイディアや技術があっても、家賃が払えない、経営ができない。家賃を含めたいろいろな固定費の負担が大きいのは間違いない。でも、今はシェアの時代。車、自転車、家まで。だから「働く場所もシェアしたっていいんじゃないか」と。
会社をするのに店舗を持つのは大変なこと。その場に張り付いていないといけないし、広い場所を持とうとしたら維持費もかかる。でもここなら出入りも自由で、そこそこの広さもあって、維持費もシェアできる。一方で、飲食店を「ちょっとだけ」「いつか」やりたいという方々が西荻にもいらっしゃる。やりたいけど仕事を辞めてまでは無理だなと考えてしまう。「いつか」ではなく「今」の仕事を続けながらでもできる。ちょっとやれば、またそれが次のきっかけを生んで、その先に違うステージが出てくるかもしれない。そういうことができたらなと、シェアできる形態にして、さらにカフェもある。カフェがあるのは、自分が仕事が忙しい時でも「ちゃんとしたご飯が食べたいな」と思ったというのもあるんですけど(笑)。


『in the Rough』=「原石」。ここは原石を磨くように未来を育てる場所。

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